今回は、昨年立て替えをされた「花外楼北浜本店」にて、第五代女将の徳光正子様と
総支配人の明石佳将氏より、花外楼の歴史と代々受け継がれてきたおもてなしの真髄を
丁寧に分かりやすくお話いただきました。
花外楼の創業は、天保元年(1830年)加賀の国から来阪した伊助氏が、大阪北浜の
現在地に料理旅館の 「加賀伊」を開いたのが創業とのこと。
天保時代は、お伊勢参りが盛んになり、人々の往来も盛んになったころです。
それから180年余りの歳月を経て現在に至りますが、中でも明治維新後の混乱した政局を
打開するために、伊藤博文、井上馨両氏の仲介で、大久保利通、木戸孝允、板垣退助の
各氏が「加賀伊」に集まり、世に言う大阪会議が開かれました。
会議は1カ月余りに渡りましたが、新政府の政治体制を整えるきっかけとなった歴史的な
出来事でした。それ以降も来阪した多くの著名人が足繁く訪れたとのことです。
老舗とは、このような様々なエピソードを積み重ねてもなお揺るぎなく、そして同時に
その時代に溶け込む柔軟性を持ち合わせ、変革を成し遂げてきたところ、と言えるの
ではないでしょうか。